イラン日記3 ペルシャ料理(1)ケバブ

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「イランに行ったら、ケバブ三昧だ(やった~!)」、と思っていたのですが、良い意味で裏切られました。
訪れる前には想像していなかった、ヨーグルトやザクロやブドウの葉を使ったエキゾチックなお料理の数々がイランにはあるのです。これらのお料理は、長時間炒めたり煮込んだりするものが多く、レストランでは滅多にない、家庭でしか味わえない料理もあるそうです。イランでは「最高のシェフは家庭にあり」という言葉もあると、ある本に書いてありました。私もイランのご家庭で煮込み料理をご馳走になった時、「仕込みから8時間かかった」と聞いて手間のかかるお料理なんだと驚いたことがありました。
イランの家庭料理にご興味のある方は、「イラン式料理本」という映画を是非見てください。DVDにもなっています。映画監督が自分の親戚宅や友人宅を訪ねて「今晩クルーと一緒に来るから、夕飯をたべさせてくれ」といきなり頼み、その依頼にどのように対応してくれるかを撮影したドキュメントです。来客の人数が多くても慌てず家庭料理をご馳走するベテラン主婦や、何時間もキッチンに縛られるなんてまっぴらという若い女性も登場します。台所事情からイラン社会の時代の変化を映し出している、素晴らしい作品です。
ちなみに、私が知っているご家庭のキッチンは広くて綺麗で、ガス台のコンロが5口もついており、そのうち1口はヤカンにお湯を沸かしっぱなしで、いつでも紅茶が飲めるようになっていました。

さて、煮込み料理のご紹介はまた今度にして、今回はケバブについてです。ケバブペルシャ料理を代表するお料理の1つですが、このケバブも日本で食べたものとは違いました。
最初にイランでケバブを食べた時は、ドドンと盛られた「本場ケバブ」を目の前に少々興奮気味でしたが、一口食べてみるとスパイスがあまり効いておらず、全部食べ終わってもあっさりで物足らない印象がありました。
後から知ったのですが、イランでは、ヨーグルトにサフランと玉ねぎと塩を混ぜたものに肉を漬け込んだだけのシンプルな味付けのものが主流で、大量のスパイスを使うことは少ないようです。
ケバブの肉は「羊」「鶏」「牛」の3種類。一口大のサイズにカットされたお肉を串刺しにして、炭火で焼きます。肉の部位により、味わいも違います。またひき肉をつくねのように串板に巻きつけて焼くタイプもあります。どれもレモン汁を絞っていただきます。
つけあわせの定番野菜は、「焼きトマト」と「生の玉ねぎ」。玉ねぎはそのままかじりますが全然辛くなく、お肉の脂をさっぱりさせてくれる、なくてはならないケバブの相棒です。焼きトマトは崩しながら肉と一緒に食べますが、これがまたケバブとの相性が抜群なのです。
一番初めは物足りなく感じたケバブでしたが、薄味で素材が生かされているからこそ、味わい深い食べ物だと思えるようになってきたこの頃なのです。(miya)